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高知の珊瑚
国産の珊瑚は高知から始まりました。
記録によると、江戸時代の後期、文化9年(1812)高知県の室戸沖で漁師がたまたま網にかかった珊瑚樹を引き上げたのが日本珊瑚の始まりとされ、土佐沖でのサンゴの採取漁が始まりました。
古くは、飛鳥時代から、シルクロード、中国を経て入ってきていた古渡珊瑚(こわたりさんご)に対して、土佐珊瑚と呼ばれ注目されました。
古渡珊瑚とは、胡渡珊瑚(こわたりさんご)、すなわち地中海で取れ、ペルシャ渡りで運ばれてきた珊瑚の呼び名でもありました。
しかし、土佐藩は、天保9年(1838)、その財宝的価値から幕府の目を恐れ、『御止め品』として一般庶民による珊瑚の採取、所持、販売を禁止しました。珊瑚の噂をすることすら許しませんでした。
その後、採取漁が再開されたのは、廃藩置県が行われた明治4年(1871)になってからのことです。
日本珊瑚の始まりから200年あまり、高知は世界を代表する珊瑚のメッカとして今も広く知られています。
海底のモモイロサンゴ(1)
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サンゴの採取地
海底のモモイロサンゴ(2)
珊瑚礁などで知られる造礁サンゴ類と異なり、宝石サンゴ類は、ほとんど光も届かない暗黒の海底で成長しています。
深海探査船からサーチライトをあてると、モモイロサンゴなどは赤橙色に浮かび上がります。上の画像は、深度325mの海底でビデオ撮影したものです。
サンゴは植物ではなく、サンゴ虫が群生した動物ですが、ここでは海流に対して裏表があるような形に成長しているようです。
根元から中程の赤く見える部分では、表層の樹皮のような柔らかな部分を取り除くと、炭酸カルシウムと微量有機物が凝縮した骨片、骨片の成長した枝状の骨軸があり、宝飾用のサンゴとして利用することができます。
近年では、サンゴ保護の目的もあり、大きく成長したものだけを選んでマジックハンドと網バケットを利用して採取するようになってきました。
新聞や雑誌の記事で、「乱獲で激減」などの見出しを見つけることがありますが、現状をもっと知って、正しく報道してもらいたいものです。
国内での宝石サンゴの採取には、当該自治体の許可が必要です。操業区域や操業期間、漁法や漁具に厳密な制限が設けられています。また、操業終了後には漁獲量を報告する義務が課せられています。ご不明な点があれば、水産庁や各自治体、珊瑚組合などにお尋ね下さい。
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